出張整備サービス「セイビー(Seibii)」とは?自動車整備工場経営者が知っておくべきポイント

自動車整備工場建設

自動車整備業界において、近年急速に注目を集めているのが「出張整備サービス」です。その中でも特に話題となっているのが、全国対応の出張整備プラットフォーム「セイビー(Seibii)」です。

セイビーは、自動車ユーザーがWebやアプリを通じて車の修理・点検・パーツ取付などを依頼でき、国家資格を持つ整備士が顧客の自宅や職場まで直接訪問してサービスを提供する仕組みです。

2025年6月に出張整備に関する規制緩和が行われることもあって、これからの成長が期待されています。
出張整備解禁についてはこちらの記事をご覧ください。

本稿では、整備工場経営者の視点から、セイビーのビジネスモデルや業界への影響、自社の経営に与えるインパクト、今後の展望までを詳しく解説します。

セイビーは、2019年創業のスタートアップで、「すべての人に安全・安心なカーライフを届ける」ことをミッションとしています。ユーザーはWebでサービス内容・料金・空き状況を確認してそのまま予約可能。整備士が自宅などに訪問してサービスを実施し、終了後には報告書がメールで届くというシンプルな仕組みです。

https://seibii.co.jp

整備内容は、バッテリー交換・エンジンオイル交換・ドライブレコーダー取り付けなどから、車検、定期メンテナンス、故障診断まで幅広く対応しています。事前決済による明朗会計・全国対応という点が支持され、リピート率も高く、急速にユーザー数を伸ばしています。

出張整備が整備業界にもたらす変化

従来、整備=整備工場へ持ち込むという考えが一般的でした。しかし、ユーザーの価値観の変化(時短・利便性重視)やコロナ禍での非接触ニーズが重なり、出張型のサービスに注目が集まっています。

この流れは今後さらに加速すると考えられており、特に都市部や子育て世代・高齢者層など「時間や移動手段に制約のある層」を中心に、ニーズは高まり続けると予想されます。

セイビーが整備工場経営にもたらす4つの影響

競合の出現
セイビーのようなサービスは、整備工場にとって“新たな競合”となり得ます。地域のリピーターをセイビーに取られてしまう可能性もあるため、自社の強みを見直す契機とも言えます。

人材確保の多様化
セイビーは整備士の副業・業務委託先としても機能しており、個人で働きたい整備士にとって魅力的な選択肢となっています。その結果、工場側が雇用に苦戦する可能性も出てきます。

価格・サービスの見直し
セイビーは価格が明瞭で、整備士の対応も高評価を得ています。これは「価格競争力」「顧客対応力」が求められる時代に突入していることを意味します。

業務提携の機会創出
セイビーでは対応できない重整備(エンジン脱着・車検整備・リフト作業等)を担うパートナー整備工場を全国で募集しています。競合であると同時に、ビジネスパートナーにもなり得るのです。

整備工場としての対応策とチャンス

地域密着の強みを活かす
セイビーはオンラインで全国対応できますが、「顔が見える関係性」「長年の信頼」など地域密着の工場ならではの強みも多くあります。常連客との接点やアフターケアは差別化要素になります。

デジタル対応の強化
Web予約、LINE問い合わせ、Google口コミなど、整備業界もDX(デジタル・トランスフォーメーション)対応が急務。セイビーの使いやすさを参考に、オンラインでの顧客体験を改善することが求められます。

出張整備の一部導入
自社で出張整備サービスを一部導入することで、新規顧客層を獲得したり、既存顧客の満足度を高めることができます。訪問は難しいが引取納車や代車サービスの強化なども一案です。

提携による収益化
セイビーのパートナー整備工場として登録することで、出張整備で対応できない修理の依頼が工場に入る仕組みがあります。新しい収益の柱として検討する価値があります。

セイビーとの提携・協業の可能性

セイビーは今後、EVやカーシェア車両の整備ニーズにも対応すべく体制を強化しています。大手EVスタートアップとの協業や、カーリース会社との提携事例もあり、こうした法人案件を地元の整備工場に振る可能性も。

また、セイビーが実施できない特定整備や高度な設備が必要な作業は、近隣の整備工場に依頼する形でビジネスを広げています。つまり、整備工場がセイビーの外注先として機能し得るわけです。

今後の整備業界と経営者が取るべきアクション

セイビーのような存在が整備業界に与えるインパクトは小さくありません。

だからこそ、整備工場経営者は「変化を脅威と捉える」だけでなく「新しい機会をどう取り込むか」に視点を移すことが重要です。

  • 自社の強みと課題を客観的に見直す
  • 顧客との関係性をより深める仕組みを持つ
  • DXやIT活用を積極的に進める
  • 出張整備やセイビーとの連携を前向きに検討する

整備業界は大きな転換期にあります。時代の変化を柔軟に受け入れ、戦略的に動ける整備工場こそが、これからの時代をリードしていく存在となるでしょう。

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