自動車整備工場で発生する産業廃棄物!種類と処理方法について解説

自動車整備工場建設

自動車整備工場では、一般的な事業所に比べて産業廃棄物が多く発生します。その種類も多く、それぞれ適切な処理が必要になります。また、産業廃棄物の処理を処理業者に委託する際には「マニフェスト」を作成し、作成後5年間保存しなければなりません。

金属くず

自動車整備工場から排出される産業廃棄物の多くを占めることになるのが金属くずです。廃棄物処理法において、金属くずは「ハンダかす・鉄鋼・非鉄金属の研磨くず・切削くずなど」と定義されています。

鉄・非鉄のうち「金属」に該当するものはもちろん、複合素材であっても構成要素の最大値を金属が占める場合には金属くずに含まれます。

自動車の解体を伴わなければ廃棄物の量はそこまで多くならないかもしれませんが、それでも修理のために取り外した外板部品や、改造のために取り外した純正マフラーやサスペンションなどが金属くずに該当します。

金属くずの処理で注意しなければならないのが金属の種類です。自動車整備工場では主に鉄・アルミ・ステンレスが発生します。材質ごとに処分費用や買取価格が異なるので、事前に確認しておくことが必要です。

最近の自動車は外板部品にも鉄以外が多く使用されています。軽自動車やエコカーではドアなどに樹脂素材、高級車やスポーツカーではボンネットやルーフにアルミやカーボンが使用されているため、処分する前に廃棄物の素材をよく確認しておきましょう。

このほか、オイルのドラム缶やペール缶なども金属くずに該当します。オイル缶の場合、オイルが付着していると処理費用や買取価格が変わってくる場合もあります。

廃油

自動車整備工場から排出される廃油は主に鉱物性油・揮発油です。鉱物性油にはエンジンオイル・ミッションオイルなどが該当します。

鉱物性油はリサイクル率が高く、廃油再生処理工場で油水分離や遠心分離などの工程を経て水分やスラッジを除去し、再生重油として製品化されます。

ガソリンなどの引火点が70℃未満で燃えやすい油は「特別管理産業廃棄物」に分類されます。特別管理産業廃棄物とは、爆発性・毒性・感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずる恐れのある性状を有する廃棄物のことを指します。

通常の産業廃棄物よりも厳格な処理基準が設けられており、事業者自らが特別管理産業廃棄物処理基準に従って処理を行うか、資格を持つ業者に収集運搬・処分を委託しなければならないと定められています。

廃タイヤ

回収したタイヤは、直ちに産業廃棄物に分類されるわけではありません。状態により中古品として使用可能である場合(有価物)は産業廃棄物に該当しないため、廃棄物処理法の制限を受けません。ただし、その場合も中古品の取扱いに関する法律には注意が必要です。

廃タイヤを保管する際には、保管場所の設置と表示のほか、悪臭や害獣・害虫の発生防止、保管の際の高さ制限に注意が必要です。

仮に有価物として保存する場合でも、180日を超えて乱雑に放置している場合は産業廃棄物とみなされ、廃棄物処理法が適用する場合もあります。

廃バッテリー

自動車用バッテリー(鉛蓄電池)に使用されている電解液はpH2.0以下の強酸性であるため、特定管理産業廃棄物の「腐食性廃酸」に該当します。この他ケースは廃プラスチック、端子類は金属くずに該当するため、廃バッテリー全体ではこれらの「混合物」として分類されます。特定管理産業廃棄物を含むため、廃バッテリーを専門に取り扱う事業者に処理を委託する必要があります。

一方でハイブリッド車・電気自動車に使用されているリチウムイオンバッテリーはアルカリ電池やニッケル・カドミウム電池と同様に「金属くず、汚泥」に分類されますので、特定管理産業廃棄物には該当しません。

産業廃棄物を正しく理解して正しく処理しましょう

産業廃棄物の処理は、事業者の周辺のみならず、地球全体の環境問題に直結します。専門の産業廃棄物処理事業者のほか、広域認定業者に処理を委託することも可能です。

自社の廃棄物の特性を把握し、正しい処理を行いましょう。

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