2025年6月施行!出張整備が一部解禁されます!

自動車整備工場建設

自動車整備はこれまで「事業場内」で行うことが原則とされてきましたが、2025年6月から施行される規制緩和に伴い、一部の項目について出張整備が解禁されることになりました。今回は、出張整備解禁の背景、具体的な内容、メリット・デメリット、そして自動車整備工場として今後どう対応すべきかについて解説します。

規制緩和の背景と目的

近年、車両の高齢化や整備にかかる手間の軽減、そして多忙な顧客のニーズに応えるため、従来の「工場中心」の整備体制を見直す動きが進んでいます。国土交通省は、パブリックコメントを経て道路運送車両法施行規則の一部改正を行い、一定の要件を満たす特定整備事業者が顧客のもとで作業を実施できるようにする方針です。これにより、車を工場に持ち込む負担が軽減され、顧客の利便性が向上するとともに、整備現場の効率化や人手不足の解消が期待されています。

出張整備の具体的内容と制度の特徴

新制度では、出張整備は大きく二つの形態に分けられます。ひとつは、企業や個人の自宅、事業所に訪問して行う「訪問特定整備」です。運送業者やバス・タクシーの運行業者の整備場に出張する場合は、「特定整備」に該当するすべての作業が可能になります。もうひとつは、現地で実施できる範囲に限り、必要な整備作業の一部を行う「限定訪問特定整備」です。どちらの場合も、作業を担当する整備士は一定の資格と実務経験を有することが求められ、事前に運輸支局への届出や、料金・作業内容の詳細を公開するなど、透明性と安全性を確保するための厳格な基準が設けられています。
また、作業実施時には、整備前後の写真や記録を一定期間保存する義務が課せられるため、万が一のトラブル発生時にも迅速に対応できる体制が整えられます。

出張整備解禁のメリットと業界への影響

顧客満足度の向上
従来、車を整備工場まで運ぶ手間や待ち時間が課題となっていました。出張整備が可能になることで、顧客は自宅や事業所で迅速かつ手軽に整備を受けられるため、利便性が大幅に向上します。特に高齢者や忙しいビジネスパーソンにとっては、移動の負担が軽減されることは大きな魅力です。

人材不足への対策
自動車整備業界では、整備士の高齢化や人手不足が深刻な課題となっています。出張整備の導入により、従来の工場勤務に加えて、柔軟な働き方が可能となるため、副業として整備士資格を持つ人材の参入や、定年退職後の第二のキャリアとして出張整備士として活躍するケースが増えることが期待されます。

収益拡大と新たなビジネスチャンス
出張整備の解禁は、整備工場にとって新たな収益源となる可能性があります。顧客ニーズに応じた多様なサービス提供が可能となるため、既存の整備業務に加えて、出張整備を活用した集客や付帯サービスの拡充を図ることで、経営基盤の強化が見込まれます。また、料金体系の透明性を高めることにより、リピーターの獲得や口コミによる新規顧客の開拓につながります。

導入にあたっての注意点と準備事項

規制緩和に伴い、出張整備を実施するためにはいくつかの注意点もあります。まず、対象となる整備作業の範囲や、作業を担当する整備士の資格、実務経験の確認が必要です。さらに、作業前には必ず運輸支局への届出や、必要書類の作成、作業記録の保存など、行政側の指示に従った手続きが求められます。これらを怠ると、法令違反として行政処分を受けるリスクもあるため、しっかりとした体制整備と管理が重要となります。

また、顧客に対しても、出張整備で実施可能な作業内容や料金体系、作業手順などをわかりやすく説明する必要があります。これにより、サービス利用時の誤解やトラブルを防ぎ、信頼関係の構築に役立ちます。経営者としては、従業員や整備士への研修を通じて新制度への理解を深めるとともに、業務フローの見直しや必要な設備の導入、さらにはウェブサイトなどでの情報発信の強化が求められます。

2025年6月の出張整備解禁は、自動車整備業界にとって大きな転換期となるでしょう。顧客の利便性向上、人材不足の解消、さらには新たなビジネスモデルの構築など、多くの可能性を秘めています。一方で、制度を適切に運用するためには、安全管理や法令遵守、情報の透明性確保が不可欠です。経営者は、これらのポイントを踏まえ、業界の変化に迅速に対応することが求められます。

経営者は、今後の市場動向を注視しつつ、出張整備の導入に伴う業務プロセスの見直しや、新たなビジネスモデルの確立を進めることが求められます。これにより、変革期をチャンスと捉え、競合他社との差別化を図りながら、持続可能な成長を実現できます。

出張整備の解禁は、顧客ニーズの多様化と技術革新の波に乗る絶好の機会です。整備工場の経営者は、積極的に情報収集と体制整備を進め、業界の新たなスタンダードを築いていくことが重要です。今後も最新情報や実例をもとに、さらなるサービス向上と業界発展を目指していきましょう。

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