自動車整備工場を開業するにあたって、必須の設備となっているものの1つがリフトです。
この記事では、特にメジャーな「2柱リフト」と「シザーリフト(パンタリフト)」の違いと選び方、設置の際の注意点について解説します。
1.2柱リフト
本体価格:50万円前後~
2柱リフトは、その名の通り左右にある2本の柱で車両を支えるリフトです。一方の柱を油圧で支え、もう一方の柱をチェーンで支える構造となっています。価格が比較的安価であることから、国内で最も多く流通しているタイプで、中古品の数も多いのが特徴です。
構造上、左右の柱の間には必ずチェーンを通さなければなりません。チェーンをリフトの上部に通すか下部に通すかによって、リフトの形状・設置方法が変わります。
門型2柱リフト
チェーンをリフトの上部に通すタイプで、地面に左右の柱をアンカーボルトで固定するだけで設置ができるため、設置費用が最も安価になります。
チェーンが上部を通っているため、左右の柱の間が完全にフラットになるのがメリットです。下側にチェーンを通す場合のチェーンカバーや、埋設式リフトのような溝もできないため、キャスターがついた工具を使用しやすくなります。また、溝にパーツを落としてしまう心配もありません。ただし、設置には最低でも4m程度の天井高が必要になり、リフトアップする車両の高さにも制限が発生する点がデメリットとなります。
2柱リフト
基本的な構造は門型タイプと同様ですが、チェーンを下側に通すため本体の高さを低く抑えることができます。設置に必要な天井高は3m程度なので、門型タイプよりも1m程度低くなります。一方で、チェーンカバーによる段差ができてしまう点がデメリットとなります。チェーンカバーの高さは5cm程度あるため、車高が低い車の場合は車体やエアロパーツを損傷してしまう可能性があります。また、段差を乗り越える際に少なからずアクセルを踏み込む必要があるため、フラットな場合に比べて安全に関するリスクは大きくなります。キャスター付きの工具の移動もしにくくなります。
チェーンを地面に埋め込む方法もありますが、その場合は設置費用が高額になります。
どちらの2柱リフトにも共通するデメリットは、使用しないときに邪魔になってしまう点です。つまづいたり、車両の移動時にぶつかったりしないように注意が必要です。
また、リフトアップにアームを使用する構造上、ショートホイールベースの車両には使用できない場合があります。
2.シザーリフト(パンタリフト)
本体価格:150万円前後~
シザーリフトはメーカーや形状によって様々な呼び方がありますが、基本的にはパンタグラフジャッキを油圧で持ち上げる構造のものを指します。
使用しないときは全体が床面に格納されてフラットになるため、空間を広く使えるだけでなく、見た目的にも非常にスッキリすることが大きなメリットです。さらに、2柱リフトのようにアームをセットする必要がないため、リフトアップ作業が容易になります。
一方で、設置には土間コンクリートを掘り下げてスペースを確保する必要があるため、設置費用が高額になります。本体価格も高価で、ベーシックな機種でも2柱リフトの3~5倍程度が相場となっています。
バリエーションが豊富なのもシザーリフトの特徴です。洗車に対応したタイプや、ジャッキアップポイントを使用せずタイヤを着地させたままリフトアップができるドライブオンタイプがラインナップされています。アライメントを調整する場合は1G状態で調整する必要があるため、ドライブオンタイプを導入すれば作業効率は格段に上がります。
シザーリフトは、既存のスペースをそのまま活用してリプレイスできる機種も存在します。リフトの新設工事だけでなく、既存のリフトの入れ替えもぜひ尾瀬ハウスにご相談ください。